糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの

02月28日の「今日のダーリン」

・にわかラグビーファンとして、秩父宮ラグビー場にて「スーパーラグビー」を観戦した。日本のチームとして参戦した「サンウルブズ」は、相手の南アフリカの「ライオンズ」よりも、残念ながら実力的に格下のチームであると聞いていた。そういう前もっての知識がなくても、「サンウルブズ」よりも「ライオンズ」は強いらしいということは、にわかファンの目にも見えてしまうものだった。

スクラムになったら、どうしても圧される。名の通り、ライオンと狼の圧しあいのようだった。狼が「よく耐えている」、というのがほめ言葉になる。

なかでも目立っていたのが、ライオンたちのパスで、パスの球速がずいぶん速いように見えるだけでなく、そのパスを受ける側の選手が、ほとんど走りながらキャッチし、そのまま前進するのだ。「投げる→ 受ける」というより「投げる →受ける」。受ける選手の腕が、磁力でボールを吸い寄せている感覚。しかも、「俺に!」「俺に!」と、吸い寄せようと走り込んでいる選手が複数いるのだ。これはかっこよかった。ウルフたちのパスは、止まっている選手に投げられる。受ける選手は、受けてから駆け出す感じだった。ここにはずいぶん差があるなぁと話していたのだが、休みをはさんで後半になったら、なんと、陽狼軍団のパスが、獅子たちと同じように、だんだん走り込んで受けるというスタイルになってきた。前半は硬くなっていたということなのか、新生チームが、このチームなりの動きに馴れてきたのか、それとも、作戦としてこれを意識したのかはわからない。

「試合中に強くなっていくなんてこと、あるんですか?」と、隣席の中竹竜二さん(U20監督)に質問する。「そういうことは、よくあります」、つまり、この試合のサンウルブズが、まさしくその例なのだな。戦績としては26-13で敗れたということだし、惜しかったという接戦でもないけれど、おもしろかった。「スーパーラグビー」、この先も満員になりそうな予感。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。会社の引っ越しは、ラグビーと野球のためではないですよ。