magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『転んで起きて』


人生初、右手の小指を骨折してしまった。

レントゲンで、自分の折れた骨を見るのも初めて。
「写真、撮っておいたら?」
先生に言われ、スマホで3枚ほど撮影。

ギプスというのも初めて。
ギプスをはめ、包帯でグルグル巻きにされる。
包帯というのも久しぶりだ。

包帯姿の私を見て、カフェのオーナーさんが、
「どうしたんですかぁ?」
なんて聞くから、
「えぇ、ちょっと、骨折」

なぜか、お客さんたちは大爆笑。

「痛みますか?」
不思議なことに、痛みはほとんどない。

ただ、心はかなり痛んでいる。
ベランダで転んで骨折、そのへんがどうにも情けない。

思えば、骨折の前日まで絶好調だった。
旅先で、猛暑の中を歩き回っても平気だった。

でも、それがいけなかったのかもしれない。
知らず知らずに体力を消耗していて、ちょっと
つまづいただけで転んでしまったのかもしれない。

あぁ、情けない。

実は、2ヶ月前だったか
『年金受給のお知らせ』が届いていた。
銀行へ行き、受給の手続きを教わった。

「とうとう、おいらも年金受給者かぁ」
なんだか嬉しいような、寂しいような。
それでも、その後は年齢を忘れるくらい快活だった。

年金受給年齢で凹み、しかしめちゃ快活で凸、
だが骨折で凹。

人生浮き沈みだなぁとしみじみしつつ、
突然、銀行で勧められた傷害保険のことを思い出した。

「65歳を機に、怪我に対応する保険はいかが?」
そうそう、これも人生初、傷害保険に入っていた!

保険会社に電話で問い合わせてみた。
どうやら保険の適用範囲らしい。

骨折で凹、そして保険が降りて凸!?

しかし、保険適用で凸となると、
次は何かの凹がやってくるかもしれない。

凹を避けるため、しばし全身包帯グルグルの
ミイラ男になり、家に引きこもっていたいのに、
「小石さん、今度は長野で食べ歩きしませんか?」

なんとも魅力的なお誘いに、
はいはいと二つ返事でOKしてしまう私であった。

ご陽気なもうひとりの私がささやく。
「凸の次も凸にすればいいんじゃない?」

骨折を早く治して、また新たな旅に出るとしよう。

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2017-08-20-SUN
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