おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1095
心はどこで洗うのか

私たちは、洗う。

カラダは風呂で、
歯は歯磨きで、
着ているものが汚れたら洗濯機で。

もし、洗いたい時に洗えなかったら、
三日、四日、と洗えなかったら、
汚れも溜まるし、ストレスも溜まる。

やっと洗えた時、
まっさらに戻ったようにきれいになって、
またそこから清々しくスタートできる。

では、心は?
だれかがズカズカ踏み込んで荒らされたり、
冷たい風によじれたり泥をかぶったり、
くたびれ、すすけた、

「心はどこで洗うのか?」

先月、仕事で岡山を訪れた。

前日、会場を下見に行ったときのことだ。

主催者のご厚意で、まだ一般公開前の貴重な
「お庭」を見せていただけることになった。

「雑木の庭」。

たそがれ、
水の流れる音、
数寄屋造り、

庭を眺めているうち、
当初から感じていたカラダの感覚が、
しだいに無視できないほど大きくなった。

みぞおちのあたりがスーッ、とラクになる。

さっきまでそこには
日ごろのうさやストレスがたくさんあったと気づく、
それらが急速にどこかへ飛び去っていく。

ふっ、と、心が解き放たれる。

私たちは日ごろ生きてく中で
時間に縛られざるをえないんだけど、
その縛りがけっこうな重力になっていたんだと知る。

その時間の縛りから、ふっ、と自由になるというか、
自分が浮いている、ような感覚になる。

私は宗教はないし、
ここも宗教とは無縁の場、
けど、私は「禅」に近いような何かを感じていた。

あるいは「茶道」。

とうにやめてしまったが、茶道をやっている時の
スーッと心が静まる感覚、に近い。

庭を見終わった後、
この企業のご担当者に、
私の体験を言わずにはおられなかった。

この企業の研修講師を翌日にさせていただくのに、
あやしいやつと思われないか、でも、
正直な体験として言わずにはおられなかった。

すると、企業のご担当者は、
きわめて冷静に、私の言葉を受け止め、
パンフレットを差し出しながら、言った、

「やっぱり、そう感じられましたか」

この庭を訪れた複数の人が同じ感想を持つと、
そして「私も」、と担当者は言った。
差し出されたパンフレットには、
いま私が言ったような感覚が、
史実や知識を踏まえて適確に書かれていた。
何といってもパンフレットの表紙に書かれていた、

この庭の名まえ、まさに!

「時の庭」。

しかし、なぜあんな短時間で心洗われたのか?

庭にいた時間は1時間もない、
もしかしたら数十分だったかも、
あそこにいた時、時間の流れがちがっていた、
というか、時が止まっていた、というか。

私は茶道をとっくにやめ、
心の修養とは程遠い俗世間にまみれた生活をしている。
庭のこともほとんど無知、なのになぜ?

「自然」のチカラだ!

と、あれから考えていて気づいた。

自然には、心を洗うチカラがある。
心を休め、ストレスを取り去り、心を癒す。

とはいえ、自然と離れて久しい現代人、
野生の自然に放り込まれても、
自然に接する体験が少なく、
なかなか自然のよさを感受できない。
ジャングルに放り込まれたら、心を洗うどころか
恐怖を感じる人のほうが多いだろう。

そこで、「庭」のような人の手が必要となる。

自然の木々や草花、川のせせらぎ、
山、風、陽の光……、
そうした自然の声に耳を傾け、
その声を、聴いて、聴いて、聴きまくると、
そこには、人をくつろがせる自然の「秩序」がある。

その「秩序」を、自然の中から抽出し、
庭というカタチに「再現」できる造園家がいる。

時の庭を造ったのは、
「雑木の庭の第一人者」とも、
「雑木の庭の確立者」とも言われる、
経験と熟練を積んだ素晴らしい造園家だ。

そして、この庭を構想したのは、
直島アートサイトのおおもとを創った人だ。
いまや世界的なアートの島となっている
瀬戸内海の直島に行ったことがある人は、
こんなところがこの世にあるのか!と感動する。
そのアートの直島をゼロから構想し創った人だ。

二人の大人が出逢い、
自然の声を聴き、
人が心からくつろげる雑木の庭を、
想いに想い、考えに考え、
10年かけて考え抜いてつくった。

「雑木の自然風庭園」

訪れた人が心からくつろげるのも腑に落ちる。
そこでは、自然から抽出した、
心くつろぐ「秩序」が、訪れた人の心に、
スーッとしみこむように「再現」されている。

「自然に帰る」

それができれば、人は、
心洗われ、心くつろぎ、心豊かだ。

「これからの人生、私はこれでいいのか?」

ふだんスマホでひっきりなしに、
情報をたぐりよせていないと落ち着かない、
そんな自分の心のありようを貧しいと感じてしまった。
根底から生き方を揺さぶられた。

「なにもいらない」

時の庭にいたとき、ほんとにそう思えた。
満たされた。
魂が、帰るべき自分のふるさとに里帰りしたようだった。

「心の豊かさ」

それさえあれば私は幸せだし、
それなくしてどんな仕事をしても虚しい。

「心はどこで洗うのか?」

あなたが
心くつろぎ、心洗われるのは、
どこですか?

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お問い合せは→金城学院大学 入試広報部
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ぜひお送りください
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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

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・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
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2時間×12コマで、
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相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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