怪・その24

「ルームサービス」

私の夫が
ホテルのセキュリティーとして働いていたとき
経験した話です。

夜、ホテルの９階の部屋から、
電話でサンドイッチのルームサービスのオーダーがあり、
スタッフが部屋まで届けに行ったのですが、
何度ノックをしても、応答がありませんでした。

調べてみると、
その部屋には今日は誰も
宿泊していないはずだということがわかり、
どういうことだろう‥‥？　と話していると

また同じ部屋から、
「‥‥サンドイッチをお願いします‥‥」と、
細く小さな女性の声で電話がありました。

その場にいた人達はみんな気味悪がって
誰も行きたがらず、結局、
夫ともう一人の男性スタッフが一緒に
部屋の確認に行くことになりました。

先輩から、
これで反射するようにするといい、
霊は光るものを怖れるらしいから、
と渡された果物ナイフを持って、
恐る恐るその部屋へ行き、
こん、こん、と
何度かノックしてみましたが、
応答がありません。

思い切ってドアを開けると、
部屋の中はは真っ暗でした。
スイッチを入れても壊れているのか、
電気がつきません。

まず、入口近くのクローゼットを開け、
懐中電灯で、部屋中隅々まで調べましたが、
誰もいませんでした。

翌日、実はあの部屋で以前、
女性が自ら命を絶つという事件があったと
聞かされました。

その後、お坊さんに来ていただき、
ていねいに供養をしてもらったそうです。

（ｉ）