怪・その28
「びよんびよん草」
小学校までの通学路に
神社がありました。
そこにいつも揺れている草があり、
びよんびよん草と名づけていました。
普通の雑草なんです。
周りの草とおんなじ。
なのに、一つだけ、風もないのに、
見かける時はいつもびよんびよん。
一度、そっと近づいてみたことがあります。
それはもう、
一心不乱にびよんびよんしているのです。
全身全霊で脇目も振らずに。
すう、とすぐその場を去りました。
気づかれそうだったから。
びよんびよん草に。
今ではコンクリートで埋められたその場所を、
遠くから眺めて、思い出した次第。
(otya)