怪・その28

「びよんびよん草」



小学校までの通学路に
神社がありました。

そこにいつも揺れている草があり、
びよんびよん草と名づけていました。

普通の雑草なんです。
周りの草とおんなじ。
なのに、一つだけ、風もないのに、
見かける時はいつもびよんびよん。

一度、そっと近づいてみたことがあります。
それはもう、
一心不乱にびよんびよんしているのです。
全身全霊で脇目も振らずに。

すう、とすぐその場を去りました。

気づかれそうだったから。
びよんびよん草に。

今ではコンクリートで埋められたその場所を、
遠くから眺めて、思い出した次第。

(otya)

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2023-08-22-TUE